夕星 ゆふづつ
わたしがいなくても世界は回る
でも、あなたがいなければ、たしかに
わたしの世界は変わる
あなたに会えるかな、
会えるといいな
わたしはずっと
あなたに会いたかった
あなたに、ずっと
あなたと話してみたかった
それは身体がなくてはできないこと
聲はこの身体があるから
アダムの林檎は本来そういう意味
意味は、音＋心、そして味と書く
意は音に心が伴って、
つまり感情が付いて生まれたもの
そこに味と書くのは、
いまあなたが感じて認識している事柄は
いついかなる時も事柄でしかなく、
いつだって、わたしたちの味付け次第で
いかなるもの・コトにも成り、変わるから
あなたの観ているせかいと、
わたしの観ているせかいはちがう
あなたとわたしのさかいを
感じて、触れて、確かめる
そのために持ってうまれたからだ
からだとこころはちがう
たましいのわたしときみもちがう
わたしとあなたを融和する
その感覚を共感と名づけただれか
その無限性のせかいを呼ぶそれは
その意味を常に同じ言葉で現す音
その意義を常に相対普遍に還す基
ただ一つにして絶対不変のそれは、愛
あなたは愛、わたしの愛
わたしは愛、あなたの愛
ただ、
大文字か小文字の違い
その違いを味わうため
わたしは生まれた
あなたもきっと
あなたは知っている
Ｉの意味は何か
あるいはその由来は
ｉの意味がなぜ
幽霊の虚数を意味するは
一人称がＩの意味
あなたは
もう知っているよね
たくさんのＩという音が交わし合う世界
愛がからだをもって交流でき得るせかい
たくさんのエゴが数多に混じり会う社会
Ｉが発するＥＳの聲とｉが見せるせかい
ＩとＩ、そして一とアイが織りなす音階
一と０、そして−とiの掛合にさんざめく
Ｉとｉがうたう愛と哀が混在するこの世
あなたの善性を信じる
エゴからではなくて
なぜなら、
性悪説は性善説なくしてあり得ないから
闇が光を飲み込む様に映るのは
ブラックホールの元が母体だから
わたしたちの本質がその向こうに
闇はあくまで闇でしかなく
光と同じくニュートラルだ
足元、その影こそわたしたちの闇
切り離されんとするｉが逃げ込み
エスの聲を借りて発すSOSのNO
お宙のうえから眺めれば分かるよ
エゴの聲を受けて返す調和のYES
０
あなたは光
あなたの観ているせかいと、
わたしの観ているせかいはちがう
言葉はlogos
聲は音
ことばは葉音
ヒトは葦
ロゴスは知性とみこと
イデアと命
知の果実
アダムの林檎は本来そういう意味
イヴは拐かしたんじゃなく
リリスが奔放で不誠実だったわけでもない
この世の悪魔は元を辿れば神様あるいは天使
輝く光
あなたの名前は
わたしたちはみなアダムと呼ばれしヒトビト
イヴはあなたの女性性であり息そのもの
リリスはあなたの野生と対をなすreflection
昼に対する夜
そして、夕からはじまる朝
せかいはことばからなり
世界は夕からはじまった
闇は音のないせかいのこと
ただ、それだけ
それ以上でも以下でもない
ひとえにニュートラルな母
光は愛、すべての存在の音
わたしたちの想いもすべて
ただ愛から来するまぼろし
永遠のいのち、総和の一音
ただ愛から起するまほらま
そこにいるあなたとわたし
ただ愛から生すわたしたち
その御仏から成る音の果実
わたしはその音がいちばん好きでした
宇宙でいちばん愛する音
それで編む花束は
それはきっと
とてもうつくしい
そして、
とても愛(かな)しいことでしょう
あなたは愛、わたしの愛
あなたは０でわたしの一
あなたは光、わたしの陽
あなたは闇、わたしの陰
わたしがいなくても世界は回る
でも、あなたがいなければ、たしかに
わたしの世界は変わる
あなたの観ているせかいと、
わたしの観ているせかいはちがう
あなたに会えるかな、
会えるといいな
わたしはずっと
あなたに会いたかった
あなたに、ずっと
あなたと話してみたかった
それは身体がなくてはできないこと
身体がいまあるから聞こえるその音
今日もさんざめく聲響きあう世界で
目と目を合わせて交わし合う聲の心
それで編んだ花束
それはどんな色
それはきっと、愛(かな)しい彩
あなたに会えるかな、
会えるといいな
わたしはずっと
あなたに会いたかった
あなたは愛、わたしの愛
あなたは０でわたしの一
あなたは光、わたしの陽
あなたは闇、わたしの陰
あなたの御仏から生る音
わたしはその音がいちばん好き
宇宙でいちばん愛する音
あなたは音楽
わたしの歌
あなたは光
わたしのフォーマルハウト
あなたは陰
わたしの獅子、
そして一番星
わたしの夜明けの光
輝く明けの明星
あなたは歌
あなたは愛
あなたは光
＊
わたしは愛に生く
わたしは愛を往く
わたしは愛に在る
わたしは愛
