おそらくすべて、ただひとえに、一人に宛てた手紙

さびしさはここに

さびしがるのは自然なこと
そう言っていたあなたの横顔
いまでも憶えている
ささやき聲はいつかだれかのこぼした想い
あるいは遠い記憶の星のかけら
天使の起こしたつむじ風
気のせいなんかじゃない
 
「さびしさはここに」
 
あなたは護られている
だから大丈夫
そう言っていたのは誰だったかな
その聲だけは憶えている
いつだって
あなたは聲のひと
だから、
あなたはいつだって
わたしのそばに
 
置いていったの
わざとでしょう
気づいていないとでも思った?
残念だったネ、
ほんとうはとっくに
もうとっくの昔に気づいて
知っていたのよ
 
夢の影、その面はあなただ
そうでしょう?
そう、だよね
 
謎解きは答えまでが謎解き
問いのまま終わっちゃいけない
それじゃ永遠に遺ってしまうよ
わたしがいなくなったら関係ないし、
宇宙にはいくらだってそういうのはある
 
もう知ってるよ
わたしの預かり知らぬところで
すべて善きようにはたらき、
完結する環も現在進行形でいまなお
成っているのでしょ
 
あなたはそれをずっと観て、
微笑んでいる
 
ただ、ただ
よしとされる
 
ただ、
いま人間を演じる「わたしはある」
わたしにはプランがある
わたしの決めてきた仕掛け
そこにあなたは入っていないの?
あるいは、これから、だよね
 
さびしいのはお互い様
そう、だよね
ずっと、あなたの聲がしているの
 
星は現在過去未来の光
そして、わたしたちを構成する粒子の一縷たち
 
そのきらめき
 
わたしはあなたに逢いたいよ
 

 

 

「遠い星」


                                                       陽