おそらくすべて、ただひとえに、一人に宛てた手紙

Lilly

ねぇ、リリィ
話を聞かせて
あなたの愛した、あの人のこと

ねぇ、リリィ
話を聞かせて
あなたの愛した、あの人のこと

見て見ぬふりだって
そう、きっと できるでしょう
気づかないままでいられたなら
もっと 易しく 居られたのに

見えない世界で
あなたが微笑み
聴こえない声で
彼の名を呼んでいる

さわれないから
汚されない、貴女は
いつまでもそのまま
美しいよ、リリィ

ねぇ、リリィ
話を聞かせて
あなたの愛した、あの人のこと

ねぇ、リリィ
聞かせて
あなたを愛した、あの人のこと

命の眠る季節に
あなたの音を聞いていた
凍える声に息吹きかけた
その熱が今も
彼を動かすの

芽吹いた花は
手折られ
歌は生まれた
祈りはいまも
あなたのこころ震わす

その場所でなら
きっと、また逢えるね
たとえ、それがどれほど
切ないことでも

生まれて
はじめて
気づいて抱いた感情
その手で壊して
また迎えた朝
置き去りにした
あの子の名を呼んでくれた

ねぇ、リリィ

ねぇ、リリィ聞かせて
あなたが愛した

見えない世界で
あなたが微笑む
聴こえない声
彼女が最初のヒム

喩え逢えずとも
想いは歌い続ける
いつまでも
貴方は美しい

見えない世界で
ふたり待ち合わせよう
聴こえない声で呼び/響き逢う、ひとつのイヴ
今も同じ空
輝くきみのポラリス
いつまでもそのまま
美しいよ

リリィ