おそらくすべて、ただひとえに、一人に宛てた手紙

於邇

 
Eyes (於邇/鬼)
 
目、ひらくと
はじまる、せかい
誘う声
 
これはいつ彼(か)の
 
ゆさ、ぐらりと
揺らす御魂
結びしその身と、
そのこころよ
 
目、ひらくと
はじまるけふ
ゆめふわりと
吐く泡ひとつ
 
ゆさ、ゆらり
坐す御霊
最初に触れるは
誰(た)の瞳、心か
 
ゆさ、ぐらりと
揺れる身体
掛かるは言の葉、音、その重みよ
 
 
目、ひらくと
ひろがる世界
いま、目醒めたきみは
いつ、どちらさま 
 
目、ひらくと
はじまるけふ
ささやき彼(か)の声
これはいつ彼の
 
あなたあらわれ誘う
さぁ、今日
これはいつかの景
耳結ぶ
遠く響くカミナリ
 
ゆさ、ふわりと
坐す御霊
はじめて触れしは
かの心、その瞳か
 
ゆさ、くらりと
軋むは躰(テイ)
其を解くは掌、かの想ひよ
 
ゆさ、ゆらり
坐す御霊
はじめて伝ふは
誰(た)の心(うら)、その想いか
 
ゆさ、くらりと
軋むは身体
掛かるは音、熱、心(ミ)の重みよ
 
 
目、ひらくと
ささやく

あなたあらわれ誘う
さぁ、今日
 
目、ひらくと
ひろがるせかい
いま、目醒めたきみは
いつ、どちらさま
 
 
 
目、ひらくと
ささやく
声(セウ)
きみ、あらわれ誘う
さぁ、今、起きよ
 
ゆさ、ぐらりと
かしぐ身体
最後に見つるは誰の記憶か
まほろば!
 
ゆさ、ぐらりと
揺れる身体(ミテイ)
掛かるは言の葉、音、そのミの重みよ
 
ゆさ、ふわりと
緩むは躰(テイ)
其(そ)を解くかの声、その掌(ショウ)、ひとつ想いよ
 
ゆさ、ゆらり
ふれる御魂
はじめて流せし涙をもてきみ救われん
 
ゆさ、ぐらりと
おわす御魂
ゆさ、ぐらりと
ゆらす身体(からだ)
 
ゆさ、くらりと
御魂
ゆさ、ゆらり
のぼる
 
ゆさ、ふわりと
あがる
ゆさ、ぐらつく
そこそが生命
 
ゆさ、ぐらりと
坐す御魂
還すは現世にて
纏しその身のみ
 
ゆさ、ぐらりと
揺れるは身体(からだ)
はなすは言の葉、音、そのミの重みよ
 
ゆさ、ゆらり
座す、皆さま
最後にさぁショウをあわせ
おくりだそうぞ
 
ゆさ、ふわりと
はなす御霊
呼ばれた、きみはつ
さぁ、たてよ今、いざ行かん
 
ゆさ、ふわりと
坐す、御魂
最初に触れしはかの声、久しく
ちかしき、いとしきひかり
 
かなしきあなた