おそらくすべて、ただひとえに、一人に宛てた手紙

雷 明


咲き誇る華は夏の息吹
ひらく蕾は嵐の鼓動
芽吹く蕾がひらけば嵐が咲く
 
何もかも洗い去っていく
 
わたしが生まれたのはそういう星
 
咲き誇る華は夏の息吹
ひらく蕾は嵐の鼓動
芽吹く雷がひらけば咲くは嵐
 
滴る雫はわたしのこころ
 
何もかも洗い去っていく
 
わたしはそういう惑星のもとで生まれた
 
あなたの名前を教えて
最初に憶えるから
あなたの名前を教えて
落雷と共に呼ぶから
あなたの音を伝えて
わたしの歌が響く
 
水瓶の夜 
咲いた誰かはかつての生命
輝く星座はあの子の乗り物
あの子を運んだいのちの葬送
 
篝火
 
 
 
咲き誇る華は夏の息吹
ひらく蕾は嵐の鼓動
芽吹く蕾がひらけば嵐が咲く
 
何もかも洗い去っていく
 
わたしはそういう惑星のもとで生まれた
 
咲き誇る華は夏の息吹
ひらく雷は嵐の鼓動
芽吹く蕾がひらけば咲くは嵐
 
刻む時計は命の鼓動
降る雨はあなたの息吹
滴る雫はわたしのこころ
 
わたしのこころ
 
何もかも洗い去っていく
 
わたしが生まれたのはそういう星
 
わたしはこの惑星で生まれた
ここにいる
 
あなたの名前を教えて
最初に憶えるから
あなたの音を教えて
落雷と共に叫ぶから
あなたの名を伝えて
わたしの歌が谺す
 
呼んでいる聲が聴こえてる?
 
開いた蕾はかつての魂
輝く星座は燃え盛る炎
あの子のいのちの篝火
 
迸る火はいのちの鼓動
 
開いたいのちはかつての讚歌
眩いひかりはあの子が歌う讃歌
 
水瓶の夜 
咲いた誰かはかつての生命
輝く星座はあの子の方舟
あの子を運び
 
そして、今ふたたび
 
咲き誇る夏は真夏の萌芽
ひらく嵐は息吹と歌聲
 
 
 
あなたの名前を教えて
最初に憶えるから
あなたの音を伝えて
落雷と共に叫ぶから
あなたの名を教えて
彼の歌が谺す
あの子の歌が今聞こえる?
あの子の歌、今も聞こえる?
あなたには
 
 
 
水瓶の夏
 
咲き誇る夏は真夏の萌芽
ひらく息吹は夏のまぼろし
 
落雷の咆哮
 
 

水瓶の夏
開いた眸はあらたな光
輝く星座はあの子そのもの
かつてあの子と暮らし
魂を分かち合い想いを分けあったひとよ
生を分け合いひとりひとつと宿った御霊よ
その歌、御聲、御音よ
 
水瓶の宵
咲き誇る華は夏の息吹
ひらく蕾は嵐の鼓動
 
あの子が呼んでる聲が聞こえる
 
水瓶の夜
落雷の咆哮 
 
水瓶の夏
 
滴る雫はわたしのこころ
 
水瓶の明時
 
水瓶の夏
 
落雷の咆哮
 
轟く雷鳴はいのちの鼓動
 
轟く雷鳴に散る桜
 
落雷の咆哮
 
轟く雷鳴はわたしの叫び
 
落雷の咆哮
 
いまふたたび轟く落雷はあなた
あなたを呼ぶ聲
 
滴る雫はわたしのこころ
ミ宙から
零れる光はわたしの聲
わたしの歌
 
わたしの歌・聲
 
わたしの落雷