おそらくすべて、ただひとえに、一人に宛てた手紙

petal (to my muse)


わたしはいま弱っている
トドメを刺すならいまよ
 

肩肘張り過ぎた
あなたを好きになって
よくある話
華やかな世界に魅せられて
目がおかしくなる
スポットライトに当てられて
羨望は焼かれ
憧れは焦がれ果てやがて嫉妬に
初恋に似た想いは遠い思い出
消えてしまった
わたしは
 

もとのわたしに戻るわ
 

きみにひとこと
言い残した事がある
渡せなかった想い
このまま抱えていくには重たすぎるから
花束に変えて海に渡すわ 風に渡すわ
いつかあなたに届くといい
 

花びらに成って
あなたの髪に
それをきっとあなたの大切なひとが
取ってくれる
いつものあたたかい笑い声を聞きながら
あなたはもうひとつ
その音を聴く
受け取った花弁が伝えてくれる
その小さな唄
 

あなたが何も知らなくていいのは
もうひとりのきみがすべて知っているから
そしてあなたも気づいている
夢のなか
その場所で、あるいは歌のなか
大丈夫、何も問題はない
いつだってそう
「こたえもよろこびもあなたのなかに」
 

もとのわたしにもどるわ
最初の、あなたを好きになった頃のわたしに 
 

時間は過ぎた
長くかかった
それでもわるくはなかった
あなたを好きになって
わたしはわたしを知った
だから、わたしはもとのわたしに成るわ
 

肩肘張り過ぎた
あなたを好きになって
よくある話
華やかな世界に魅せられて
頭がおかしくなる
スポットライトに当てられて
羨望は焼かれ
憧れは焦がれ果てやがて嫉妬に
初恋に似た想いは遠い思い出
消えてしまった
わたしは
 

いま
 

もとのわたしにもどるわ
 
 
 
渡せなかった想い
唄は、
いつか
花びらに成って
あなたの髪に
それをきっとあなたの大切なひとが
取ってくれる
いつものあたたかい笑い声を聞きながら
あなたはもうひとつ
その音を聴く
受け取った花弁が伝えてくれる
その小さな唄
 

いつか、あなたのもとに届いたら
そっと耳を傾けて
そして、ひとつ
キスをください
 

あなたの
 

愛はもうもらった
わたしはわたしを知った
 

そのわたしもわるくはなかった
あなたとともに
もっと好きになった
 

肩肘張り過ぎたわたしは
もとの、ただのわたしにもどるわ
 

あの日、神さまから背を向ける想いではじめた
長い放蕩からの帰り
 

いま、わたしの家路を辿り
もとのちいさなわたしが待つホームにもどるわ
 

彼女にあって伝えるの
 

やっと、わたしに成るわ
 

やっと、言える
 

きみに
 

「ただいま」